No 25. ベトナムの総合病院

 ホーチミンには素晴らしい立派な総合病院がある。この病院のICUには日本のODAで導入された最新式の医療器械がある。ある日、日本人の画家が呼吸困難に陥り、フランス系のクリニックから手に負えないと搬送されて来た。
 
 ベトナム人の若い医者が喉を切開し、緊急手術を施した結果一命を取り止めた。1週間の入院で日本への転院という事になったが、彼の病名は喉頭癌という診断だった。 
 
 彼は金銭的余裕が無く家賃も1年近く滞納していたが、大家さんが大の日本びいきで病気がちだった彼の面倒を見ていた。日本にも身内がいないらしく、ようやく別れた奥さんと連絡はついたが金銭的な余裕はないとの事だった。
 
 邦人保護でホーチミンの日本領事館に相談したが、領事館としては何も出来ないという。しかしそこに退官間近の領事が勤務していたのが幸いして、その領事が個人的に自腹で、総合病院 に(チョウライ病院)入院させ日本までの航空運賃も負担し、日本の病院まで搬送した。
 
 日本航空は病人の搭乗は医者の同行が必要との見解で、その領事は手術を担当した、若い医者のビザを取得し3人で日本に行った。本来なら領事の個人負担でなく領事館が外務省と相談して然るべきである。もしその領事に巡り逢わなければ彼の運命はどうなっていたのだろうか、外務省にも奇特な人はいるもんだ。本来なら領事の個人負担でなく外務省が負担すべき問題だ。